トップライターはっさく堂さん「恩送り・お互いさまの街ふくしま」の活動を知ろう! 5月5日にいいコネWESTにて講演会開催

「恩送り・お互いさまの街ふくしま」の活動を知ろう! 5月5日にいいコネWESTにて講演会開催

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“Pay it forward(ペイ・イット・フォワード)”という言葉を耳にしたことがあるでしょうか? 2000年に公開された映画『ペイフォワード』でもテーマになった概念なので、知っている人は多いかもしれません。
これは、誰かから親切にしてもらったら、今度は自分が別の誰かに対して親切にすることで、受けた恩を返す(恩返し)のではなく「送る」(恩送り)という考え方。
受けた恩を同じ人に対して返す言葉は”Pay it back(ペイ・イット・バック)”ですが、これだと当事者2人の間で親切が完結してしまいます。ペイ・イット・フォワードは、もっと多くの人を巻き込んでゆく、いわば親切のムーブメント。みんなが受けた恩をほかの誰かに渡していくため、終わることがありません。社会全体を親切が循環してゆくしくみなのです。

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2024年5月5日(日)、いいづなコネクトWESTの会議室にて、「ペイ・イット・フォワード(恩送り)」の活動を続けているNPO法人チームふくしまの代表理事の講演会があります。主催は長野県小谷村出身で、現在は福島県福島市に移住している山田雅彦さんです。
チームふくしまは2011年5月に発足。東日本大震災の原発事故での汚染問題で、「ひまわりが放射性物質を吸収する」と話題となったとき、「ひまわり里親プロジェクト」としてスタートしました。これは、ひまわりの種を全国に販売して「里親」としてひまわりを育ててもらい、その種を福島に返すという活動です。全国から集まった種は、福島県内でたくさんの花を咲かせました。
その後、農水省の実験により、ひまわりによる除染効果は認められないと結論付けられました。しかし「福島と全国がつながる活動として継続してほしい」という声が多く寄せられ、現在もこのプロジェクトは続いています。

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3万本以上のひまわりの中で挙式をする「ひまわり結婚式」

「私が、チームふくしまの代表の半田真仁さんと初めてお話したのは2012年12月のこと。半田さんの活動は知っていたのですが、ある懇親会でお会いし、プロジェクトはどうですか? と聞いてみたんです。私の中では、半田さんから『国や県が動いてくれないから大変なんですよ』という言葉が出てくると予想していましたが、実際に半田さんから告げられたのは、応援してくれている全国の人たちへの感謝の言葉ばかりでした。もう本当に、そこには感謝しかなかったんです」

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山田雅彦さん。コミュニティフリッジひまわりにて

その言葉に深く感動した山田さんは、チームふくしまを応援したいと、自らも活動をスタート。当時は長野市に住んでいたため「信州・北陸実行委員会」として、ひまわり里親プロジェクトの講演会や報告会、SNSでの発信などを行うようになりました。
「最初は自分ひとりだったのですが、協力してくれる個人やお店、学校が増えて、活動の輪が広がってゆきました」と、山田さんは振り返ります。
「飯綱町内でも、2014年から、保育園や小・中学校、高校まで、ひまわりを育てる活動に参加してくれています。全国的に見ても、ここまで一つの町内のいろいろな学校で広まったのは珍しいと思います」

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コミュニティフリッジひまわり

チームふくしまの活動の柱は、ひまわり里親プロジェクトだけではありません。「ペイ・イット・フォワード」の精神を取り入れた「恩送り・お互いさまの街ふくしま」です。
これは、チームふくしまの副理事長だった吉成洋拍さんが発案した社会事業。恩送りのひとつの形は「コミュニティフリッジ」と呼ばれる活動です。農家さんや企業、個人の方から、規格外野菜やお米、缶詰などの食料品、そして日用品などを寄付してもらい、ひとり親の家庭や生活に困っている人などが、好きなときに必要なものを持っていくことができるしくみ。現在、福島市内で稼働中で、利用登録者は100人を超えているそうです。

72338_0.jpg お互いさまチケット。福島県内で広がりつつある

また、「お互いさまチケット」という活動もあります。これは、協賛する飲食店などで、お客さんが次の誰かのために食事券を購入。メッセージを添えて壁に掲示します。そして、その後に来店したお客さんが、その商品を無料または低価格で購入できるのです。商品を先払いすることで、チケット利用者の支援につながるというわけです。

これらの活動は、吉成さんが創業した福島市のハンバーガーショップ「BLTカフェ」から始まりました。吉成さんはほかにも、子ども食堂や障がい者雇用、児童施設支援など、みんなが暮らしやすい社会のための活動をたくさん発案し、実行に移しました。しかし、2021年初夏、子ども食堂の打ち合わせをした数時間後に倒れ、2週間後に逝去されました。

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吉成さんが考案した、子ども食堂応援「ひまわりカレー」

吉成さんの遺志は、仲間たちにしっかりと引き継がれています。
「お互いさまチケットの協賛店の目標は、福島県内に100か所です。それが実現したときには、優しさとお互いさまの精神にあふれた『お互いさまの街』 になると信じています。さらに、活動を日本中に広げ、お互いさまの気持ちで溢れた日本にしていきたいと考えて活動しています」

5月5日の講演会では、チームふくしまの代表理事である半田さんによる、「お互いさまの街」「ひまわり里親プロジェクト」など、活動の話が聞けます。
「震災を経験し、全国から支援を受けた福島から『恩送り』を発信するというのは、とても意義があることだと思います。社会活動やコミュニティづくりなどのヒントも見つかると思いますので、ぜひご参加ください」(山田さん)

お互いさまの街ふくしま
福島ひまわり里親プロジェクト
NPO法人チームふくしま
 

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